コラム

AIと著作権の関係について徹底解説。AIが作ったものの著作権元や商用利用などについて紹介

公開: 更新: マーケティング施策

AIと著作権_アイキャッチ

最近のAIの進歩には目覚ましいものがあります。

「AIの描いたイラスト」「AIの作った文章」を見かけたり、実際に「ChatGPT」を使ったりしたことがある人も多いでしょう。

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ChatGPT(チャットジーピーティー)とは、OpenAI社が開発したAIチャットツール。2022年11月に一般公開されて以降、わずか2ヵ月で月間アクティブユーザーが1億人に達したと話題になっています

ここまでAIが普及すると、「AIの作ったイラストや文章の著作権は誰が持つのだろうか」と考える方もいるのではないでしょうか。

AIの作ったものの著作権については、下記のパターンが考えられます。

・AIが著作権を持つ
・AIに指示をしてイラストや文章を作った人が著作権を持つ
・AIを作った人が著作権を持つ

実際にAIと著作権に関してはネットなどで度々取り上げられ、問題になることがあります。

今回の記事ではAIと著作権の関係について、下記を解説します。

  • そもそもAIや著作権とは
  • AIと著作権が問題になっている理由
  • AIが作ったものの著作物は誰が持つか
  • AIが生成したものは商用利用できるのか

「AIが作ったものを自社で使用したいが、著作権侵害になるかどうかが気になる」

「AIの作ったものを元に商品を作りたい」

と考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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※本記事の内容は2023年7月時点のものです。AIと著作権に関しては文化庁が発信している「AIと著作権」も参照ください。またAIの進化は目覚ましく、AIと著作権の関係も日々変わっていく可能性があります。

 

1.そもそも「AI」と「著作権」とは?

まずは、「AI」と「著作権」とは何かついてご説明します。

1-1.「AI」とは?

AIと著作権_AIとは

「AI」とは「Artificial Intelligence(人工知能)」の略語。コンピューターがデータ解析をし、まるでコンピューターが人間のように知的活動を行える技術のことです。

AIの歴史は意外と古く、1960年代に第1次ブームが起きました。コンピューターにチェスや数学の数式を解析させ、一気にAIの認知が高くなります。

最近は文章などから自動で画像を生成する「AIピカソ」や、まるで人間と自然な会話をしているようなチャットサービス「ChatGPT」が登場。再びAIが注目を集めています。

1-2.「著作権」とは?

「著作権」とは、著作物を創作した人がその著作物に対して法律で守られる権利のことです。

著作物は、著作権法第2条第1項第1号「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています。

著作物は著作者の承諾を得ずにコピーしたりインターネットで公表したりすることはできません(私的利用など一部の場合は除く)。もし、著作権法に反すれば、法律で罰せられる可能性もあります。

 

2.なぜAIと著作権が問題になっているのか

なぜ最近、AIと著作権が問題になっているのでしょうか。ここからはAIと著作権の問題について説明していきます。

2-1.AI技術による生成が問題になっている

AIはAI技術により、イラストや文章などを生成します。その時、ネット上に既存しているデータからイラストや文章の特徴を学習して創作物を生み出します

この「既存のデータからの学習」が問題となっています。

まずAIは自動でネット上の既存データから学習します。この時、学習元には何も許可なく学習していきます。この学習する時に学習元に何かしらの経済的還元が必要なのかどうかが問題になっています。

次に学習元と類似したものが生成される可能性があります。いくらたくさんの創作物から学習するとはいえ、一つの創作物に類似や依拠したものが生成される可能性は大いにあります

そして、そもそもAIが著作者に許可なく学習すること自体が問題となる場合もあります。

イラスト投稿サービス「pixiv」では、イラストレーターがイラストを非公開や削除する事例が相次いでいます。

これはクリエイターのイラストを学習して別のイラストを生成するAIに抗議したものです。

クリエイター側から見ると、AIによるイラストの学習を「悪用されている」と考えたものです。

pixiv側は「サービス共通利用規約・ガイドラインの改定」「新しい監視システムを追加導入」などの対応を発表。
(引用:pixiv「AI生成に関わる問題と、対応についてご報告」より)

しかし、ネット上でイラストが発表されている限り、AIの学習に利用される可能性は捨てきれません。

このような問題も起こり、AIと著作権の関係について注目が集まっています。

2-2.AIが生成したものの著作権問題

他にも、AIが生成したものの著作権が誰になるのかも問題となっています。

AIが著作権を所有するのか、もしくはAIに指示をして作成した人間が著作権を有するのか。また、AIが学習した先の創作物を作った人間が著作権を有するのかも問題になっています。

このような著作権の問題に関しては、次から詳しく説明していきます。

 

3.AI開発段階での著作権

AIの著作権問題は、下記の二つにわけられます。

・AIの開発段階
・生成・利用している段階

まずはAI開発段階での著作権を説明していきます。

3-1.AIの生成の仕組み

著作権について説明する前に、まずは画像を例にしてAIが生成する仕組みについて説明します。

画像の場合、まずAIは機械学習アルゴリズムを用いて、ネットなどに存在しているデータから画像の特徴やパターンなどを学習します。

特徴やパターンを学習したAIに「バナナ」「ブドウ」など、描いてほしい絵のテキストを打ち込みます。すると、AIは学習したデータの中からテキストと同じ特徴やパターンを探し出し、学習済みのデータと同じような画像を生成する、という仕組みです。

簡単に説明しましたが、実際にはもっと複雑なプログラム等を経て画像は生成されます。

3-2.AI開発時に著作権が発生しない場合

ここからはAIを開発する時に著作権が発生しないのはどういう場合かを説明します。

文化庁が発信している「AIと著作権」には、下記のように書いてあります。

AI開発のための情報解析のように、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく行うことが可能です(権利制限規定)。
(引用:文化庁「AIと著作権」)

つまり、「享受を目的としない利用行為」の場合は著作権者の承認は必要ないと記されています。

享受とは、誰かから何かを受け取って自分のものにしたり、もしくは芸術作品を芸術として楽しんだりしないことです。

AIを開発する時、自分のものにしたり芸術品として鑑賞を楽しんだりする目的でない限り、著作権者への許可は必要がないということです。承諾が必要ないということは、何かしらの経済的還元も必要ありません。

ただし、同じ「AIと著作権」には、「『著作権者の利益を不当に害することとなる場合』は規定の対象とはなりません」ともあります。

例え、「享受を目的としない利用行為」だとしても、著作権者の利益を害する場合は、著作権者への許可が必要になるということです。

ただ、上記の判断は非常にあいまいです。何かしらの問題が起こった場合、最終的には司法の場で個別に判断される可能性があります。上記はあくまでも参考と考えた方がよいでしょう。

 

4.AIからの生成や利用段階での著作権

次にAIから画像等を生成する時や利用する段階での著作権について説明します。

実際にAIを開発する人は限られます。一般的に関わる場合が多いのは、このAIから生成したり利用したりする段階なのではないでしょうか。

4-1.著作権侵害に関しては人間もAIも同じ基準

AIと著作権_著作権侵害

結論から言うと、著作権侵害に関しては人間でもAIでも同じ基準になります。

「類似性」や「依拠性」を元に判断され、既存の著作物と「類似性」や「依拠性」が認められれば権利者からの利用承諾などが必要になります。

反対に「類似性」や「依拠性」が認められなければ、著作権侵害にはならないということです。

4-2.AIが生成したものは著作物に該当しない

「類似性」や「依拠性」が認められなければ、著作権侵害にならないことはわかりました。では、AIが生成した画像等の著作権は誰のものになるのでしょうか

AIが自律的に制作したものは 「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられます。なので、著作権は該当しないということになります。

ただし、これは既存の著作物と「類似性」や「依拠性」が認められない場合に限ります。既存しているイラストや文章に類似性が認められれば、著作権侵害にあたります。

4-3.人間がAIを道具として使った場合は著作物に該当する

上記の他にも、人間がAIを「道具」として使った場合は著作物に該当することがあります

例えば、イラストを作成する時、イラストレーターが背景にAIの画像を用いたとします。他の部分はオリジナルで描いたとなれば、それはオリジナルイラストとなりイラストレーターに著作権が発生します。

 

5.AIが生成したものは商用利用できるのか

AIが作成したものは、商用利用できるのでしょうか。ここからはAIが生成したものの商用利用について説明します。

5-1.AIが生成したものは商用利用できる、販売もOK

AIが生成したものは、商用利用(会社や個人としての利益利用)ができます

実際に「Adobe Stock」「イラストAC」では、AIが作成したイラストを販売しています。

ただし、商用利用も販売も既存の著作物と「類似性」や「依拠性」が認められない場合に限ります。既存の著作物と「類似性」や「依拠性」が認められれば著作権侵害となり、著作権者の承諾なくしての販売も当然NGとなるので注意しましょう。

5-2.AIと著作権に関しては今後の動向を注視するべき

AIの進歩は目覚ましいものがあります。現段階では上記のように決まってはいますが、AIの進歩によっては考え方が改正される可能性があります

今後もAIと著作権の考え方に関しては、注視していくことが必要でしょう。

 

6.まとめ:AIと著作権に関して正しく理解しよう!

今回はAIと著作権について、下記を説明しました。

  • AIの著作権問題は「開発段階」「生成・利用段階」に分けられる
  • 「享受を目的としない利用行為」の場合、AI開発に著作権は発生しない
  • AIの生成したものも人間の場合も著作権の基準は同じ
  • AIが生成したものは商用利用や販売はOK
  • 今後もAIと著作権については注視していくことが必要

AIは今後も進化していくことが予想されます。それに伴い、著作権との関係も変化する可能性があります。随時、最新情報をチェックし、AIと著作権に関して正しい知識を持つようにしましょう。

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※本記事の内容は2023年7月時点のものです。AIと著作権に関しては文化庁が発信している「AIと著作権」も参照ください。

 

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